ギブス
柚葉は、涙の粒を浮かべながら…奏を睨みつける…


『あたしに…、もぅ…、触れなぃで…っ』
【先生が…、あの人が触れた…身体に…、唇に…っ】


「……っ」


『また…、こういうコトしたら…絶対に…、許さないから…っ』


そぅ、言い放ち…

住宅街を走って行こうとした…


「っ身代わりでもいぃよっ」


その、背後から聞こえた…その言葉に、足が止まり…

柚葉は、恐る恐る…振り返る…


「兄貴の…諒の代わりでいぃから…
君のコトが好きなんだ…っ」


『……っ』
【…奏さん…っ】


その瞳が揺らいだ…

決意が…、モロくも…崩れてしまいそうに…
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