ギブス

「いい加減…、忘れろよ…
教師なんて、真面目そぅなフリして、他にも…お前みたぃなナニも知らない女子生徒を騙してたんじゃないのか？」


『違うっ！…って、先生は…っ』


「…大体…、アイツのあの目…って…、普通の人間の…っ」


その時に、裕喬の脳裏で思い出した記憶…

夜の学校の校舎で、柚葉から手を引いて貰いたい…と、諒に頼みに言った日…

あの、薄い月明かりの見え隠れする中、感じた違和感…、普通の人間とは違う…異質なモノを感じた…


裕喬は、柚葉に、視線を戻し…


「柚葉、お前…あの人に会った時に言ってたよな？
“先生は、あの人だった”…って…？　以前、会ったコトが…っ？
あの時は、聞き流してたけど…
まさか…、あの時の犯人…っ？」


その、裕喬の言葉に、柚葉の表情が一瞬、強張った…


「…そぅなのか…っ？」


『…っえ…？　ナニ、言ってるの…っ？
違う…って…、そんなワケ、ないじゃん…っ』


そぅ、咄嗟に…笑って誤魔化そうとした…

…が…


「まさか…、去年の夏の…殺人事件も…っ？」


『……っ！』


裕喬の言葉に、心臓を鷲掴みにされたかのよぅな衝撃を受けた…

…が、柚葉は、すぐ様、裕喬から視線を反らし…


『さぁ…、あたし、その日…先生とずっと一緒にいたし…』


そぅ、言うなり…靴を脱ぎ、２階の自室へと階段を上がって行った…