ギブス
そぅ…、一瞬…脳裏によぎり…
すぐに掻き消した…


『……っ』
【…まさか…っね


同じ香水を、つけている人なんて…
たくさんいる…


先生に…、逢いたい…と、
そぅ、想ってばかりいるから…

同じ香水をつけている人に、掻き乱されるんだ…】


…と、自分の考えの甘さ…に、笑いが込み上げて来た…


そして…


『付き合おうかな…っ?』
【…奏さんと…


先生が、姿を消してから…ずっと…
探してくれていたし…

ずっと…、側にいてくれた…


あたしが…、泣いてる時…
何時間も…、側にいてくれた…



…‐優しい人‐…だと、思う…しっ】


柚葉は、制服のポケットにしまったリングを取り出し、目線の高さで見つめる…

先ほどとは違い…、自然に笑みがこぼれる…



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