ギブス
「…そぅだ…
だから…、刻印(しるし)をつけた彼女を…」


『…“シルシ”…っ』


そぅ…、首を傾げた柚葉…

諒は、その柚葉の制服の胸元を指差した…


「…お前の…、胸元にもある…っ」


諒の、その言葉に…柚葉は、自分の胸元を押さえた…


「…6年前…、俺は、この血に目覚めたばかりで…
分からなかった…
自分の命を繋ぐ為に、自分の本能が欲する…刻印をつけた女の血を…その女が息絶えるまで…吸い続けてしまぅコトに…
その血がなければ…生きられないコトなど…知らなかった…
幼かった…お前に、その刻印を…っ」


『……っ』


その、諒の言葉に…柚葉の瞳が揺らいでいく…

微かに…、震えだした指先…

少しずつ…、震え出し…、溢れ出す…生暖かい涙…

その、涙を流しながら…


『…あたしを…、…殺すの…っ?』


かすれた声で…、やっと…ソレだけ言えた…
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