ギブス
「…ごめん…っ
痛かったよな…っ」


その、諒の言葉に…柚葉は首を左右に振った…


『…大丈夫…だょ…っ。
先生…、いきなり…で、ちょっと驚いただけで…っ』


両の瞳に、涙を浮かべながら…言った柚葉に…

諒は、微かに吹き出しながら…、柚葉の頭を軽く叩いた…


「…ムリ…するな…っ
俺も、焦っちゃったからな…
ごめん…」


そぅ…、困り果てた…よぅに、苦笑いを浮かべた諒…

その、諒の表情に…柚葉の胸が疼いた…


『……っ』
【…早く…、大人になりたい…

先生に…、釣り合うよぅな…

大人の女の人に…っ】


その、柚葉の表情から…


「柚葉、ムリして…背伸びなんかする必要ないからな…」


『でも…っ』


そぅ、戸惑いを見せた柚葉の頬を…諒は、包み込みながら…


「俺も…、まさか…あんな小さな女の子が…こんなに可愛く綺麗な女の子になって、現れるとは想わなかった…
最初の出逢いは、偶然でも…
いまは…違うんじゃなぃのかな…っ」


そぅ…、緩やかに笑いかけた諒の言葉に…柚葉の頬は、熱を帯びた…


『…“運命”…っ』


…と、微かに首を傾げながら聞き返した柚葉…
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