シロネコノート改
最後に、もう一例紹介しておきますか。

今度は芥川賞受賞作、川上未映子の
「乳と卵」から、乱雑な街の描写。


大阪にも腐るほどの飲み屋街があるけれ
ども、巻子が働いているのは大阪の京橋
という地域であります。

いわゆる場末というのかしら、いわゆる
高級なものとの縁は一切なし、

全体が茶色く変色したゲームセンターに
立ち飲み屋が連なり、

建物の角度として傾いているんでは、と
思える個人経営の本屋の横に、
細ながい作りの焼き肉屋があり、

ほんまにちょっとの隙間もなく隣接する
のは、どぎつい粉飾がびしびしと目に
突き刺さる電話や口の風俗店、

その隣にフグを食べさせる店があったり
して、しかしこのフグというのがどこら
へんがフグなのかが噛みながらにしても
謎であり、いったいこれのどこがフグ部、
といった按配で、

それにかかってくるパチンコの音流、
電飾のびかびか、
ゲーム機が内蔵されたテーブルに暗い
暗い喫茶店、
店主も客もいるとこを見たことのない
判子屋、

などなどで、人々はかかる鬱憤を爆発
させ、笑い、道の端にはビール瓶が山と
なって割れてあったり、とにかく乱雑な
ものであって、まあよくゆや人懐っこく
気取らぬ地域ではあるけれども、
集まる店は細かく小さなものばかり。


・・といった具合で、うまいですね!

色・視覚:
 1)茶色く変色したゲーセン。
 2)どぎつい粉飾がびしびしと目に
   突き刺さる・・
 3)電飾のびかびか。
 4)暗い暗い喫茶店。

音:1)パチンコの音流
  2)笑い。

味:フグ

その他、傾いた本屋、細長い作りの焼き
肉屋、店主も客も見たことがない判子屋、
道端に山となったビール瓶、をリズムに
乗せて組み合わせてます。

みなさんも、近所の商店街やデパート
などに行ったときはよく観察しメモして、
その場所をどのように文字で表現するか
考えてみたら良いかもしれませんね。

ということで、「文章論・1」を終わり
ます。また「2」「3」もやりますね!

            おしまい

09/07/16(木)




     





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