ギャップ的恋愛論
「ちょっとどいてよ…」
椅子に押し付けられてブーブー文句を言ってる朋歌の声も、今のあたしには聞こえてない。
だってあの神木があたしと仲いいって言っただけじゃなく、話せなくて寂しいなんて言ってくれてた事に、ひたすらドキドキしてるから。
コロコロ態度が変わるあたしに、一瞬驚いた表情を見せた三原くんも、やけに真面目な顔で言葉を続けた。
「あ、ああ……。
だから学校でも気軽に話しかけてやってよ?
アイツ、呉林さんにヒドイ事したって後悔してるみたいだし」
「それホント?ホントに神木がそう言ったの?」
「俺が言うと嘘っぽく聞こえるかもしれないけど、マジで信じて。
あっ、ちなみに、アイツ今完全にフリーだから」
そう言うと、三原くんはニッコリ笑って去って行った。
今なんて言った?
神木がフリー?
フリーって事は、この前の人とは別れたって事……?
人の不幸を喜ぶのは悪いと思うけど……
やばい……
顔が勝手に緩んじゃう……
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