ギャップ的恋愛論





ひぇぇぇ……






ドキドキしっ放しのあたしの方に、どんどん意地悪な笑みを浮かべた顔が近づいてくる。






それに合わせて後ずさりを始めていたあたしの足が、2、3歩行った所で壁に当たった。






「か、からかわないでよっ…」






「からかってんのはお前だろ?
何で俺がわざわざこんな格好してんのかわかる?」






そんなのわかんないよ…






壁に背中を押し当てながら、思いっきり首を横に振ってみせると、ある一定の距離を置いてその動きは止まった。






「学校ではひっそり暮らしたいから。
だから俺にはもう構うな。
いいな?」






その距離わずか10センチ。





見つめられたまま一方的に言われた脅しのような言葉に、素直に頷くほどあたしだって馬鹿じゃない。







頑張れ!あたし。






「構うのにも理由があるのに……」






震える声で必死に訴えた。






「何だよ?その理由って」





まさか反論されるとは思ってなかったらしい神木の眉間に、じわりとシワが寄っていく。






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