ギャップ的恋愛論
でも、自分の好きな人が他人に文句を言われてる姿は、切ない以外になくて。
それをただ黙って見とかなきゃいけない立場のあたしは、切なさで胸が張り裂けそうになっていた。
「乙葉、トイレ行こっか…?」
不意にそう言ってあたしの手を引いてくれた朋歌が、踵を返してドアへと向かう。
その腕に絡まりながら、あたしも教室に背を向けた。
こんな切ない場面は、もう2度と見たくない。
教室から2、3歩出たところで、そんな気持ちが溢れてきて、知らぬ間に涙腺が緩んでしまう。
「泣くならあそこ行く?」
敏感に気持ちを察知してくれた朋歌が、階段の上の方を指差した。
「ううん。またサボらせるわけにはいかないよ。
大丈夫、すぐに泣き止むから……」
朋歌の腕に隠れながら、あたしは首を振ってこっそり涙を拭った。
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