ギャップ的恋愛論






いつも通学で乗るのとは反対方向に向かうバスの中は、普段は見かけない制服を着た生徒で溢れていた。






「ちっ……、座れないじゃん……」






小さく舌打ちをした朋歌と並んで手摺りに捕まりながら、ぐるりと周りを見渡す。





「ねぇ、この制服って真鍋先輩と同じ学校じゃ…?」





あたしが小声で囁くと、「そうよ…」と朋歌も小声で頷いた。






「競技場のすぐ近くに学校あるから。悪いけど、帰りは一緒に帰れないかも……」






「先輩が迎えに来るの…?」







「ああ、うん。たまには一緒に帰ろうって晋ちゃんが……」






わざと視線を合わせないように呟く朋歌の横顔は、耳まで真っ赤でちょっと面白い。






晋ちゃんとは、朋歌の彼氏の真鍋 晋也先輩の事。







なんだかんだいって仲が良い2人は、あたしの憧れでもある。






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