雷鳴の夜
「こんなの…!」

口元を押さえ、吐き気を堪えながら私は言う。

「こんなの悪戯に人間を切り刻んでいるだけじゃない!」

知らず涙がこぼれた。

訳も分からないうちに、実験台にされた人々の無念。

その怒りは如何程か。

医療に携わるものとして、許しがたい所業だった。

「許せない…三池総一郎も!機関も!この実験に関わった何もかも!」

「……」

ヴィクターは押し黙ったまま、私の言葉を聞いていた。

「一体何の目的でこんな酷い事したっていうの!?同じ人間なのに、何でこんな酷い事できるの!?」

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