雷鳴の夜
…時間は、午前1時に差しかかろうとしていた。

今夜の病院は本当に平和だ。

運が悪ければ救急車が引っ切り無しに入ってくる事もあるというのに、今夜に限って言えば一台も来ない。

こんな嵐の夜で、交通事故が多いだろうと思っていたけれど、案外みんな家にこもって大人しくしているのかもしれない。

私も早めの夜食を済ませ、ナースステーションでの勤務に勤しんでいた。

と。

「小野さん」

休憩に行っていた先輩看護師が戻ってくる。

「今日はそんなに忙しくないから、今のうちに少し仮眠とっておいたら?」

「え?」

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