雷鳴の夜
珍しい事もあるものだ。

この病院に勤め始めてからというもの、忙しい毎日で勤務時間中に仮眠をとる暇などなかった。

こんなのは初めての事だ。

「いいって、遠慮しないで?時間のある時しかこんな事できないんだから。婦長には、うまく言っておいてあげる」

そう言って微笑む先輩。

「……」

大して眠くはなかったのだけど、こんな事はもう二度とないかもしれない。

「それじゃあ…お言葉に甘えますね」

私は席を立ち、ナースステーション奥の休憩室へと入っていった。

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