雷鳴の夜
最終章
鈍重で緩慢な動きの10型。

しかし意外にも、なかなか振り切る事は出来なかった。

既に私はもう疲れ果てていたのだ。

緊張の連続で身も心も消耗している。

こんな非日常の中、しかも常軌を逸した状況での長時間の行動だ。

余程神経が図太くない限り、平静ではいられない。

そんな状況下で、更に背後から怪物…理性の欠片すらも失ってしまった人造人間が追ってくるのだ。

逃げようにも足がうまく動かない。

廊下に散乱したコンクリート片や木片に躓き、足がもつれ。

私は前に進む事すら精一杯だった。

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