雷鳴の夜
足が重い。

膝が上がらない。

足を引きずるように走る。

前に進まない。

醜悪な巨人がすぐ背後にまで迫っているというのに、気持ちとは裏腹に、体が思うように動かない。

10型が手を伸ばし、私を掴もうとする!

「っっっっっ!」

私は必死に身をよじって10型の手から逃れた。

怖い。

怖い怖い怖い怖い怖い!

こんな所で死にたくない。

人知れず、人間の理解の範疇を超えた怪物に食い殺されるなんて、絶対に嫌…!

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