雷鳴の夜
受付ロビー近くにある自動販売機で缶のカフェオレを買う。

そのままナースステーションに戻ろうとして、ふと。

「……」

私は、あの地下病棟の事を思い出した。

さっきは見回り中という事もあって断念したけれど、今は一応休憩中だ。

見に行くくらい…。

そう、中を軽く覗いてくるくらい問題はないだろう。

怖いもの見たさも手伝い、私は再び1階の地下病棟入り口へと足を運ぶ。

…消灯された廊下。

稲光のみが、時折窓から院内を照らす。

只でさえ不気味な雰囲気の夜の病院の中を、私は息を殺して歩いた。


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