雷鳴の夜
そんな事を考えて軽く身震いしつつ、私は苦笑いした。

馬鹿馬鹿しい。

そんな事になっていれば、とうの昔に警察沙汰になっている。

大体そんなのは、二流のサスペンスドラマの展開だ。

現実にそんな事件はそうそう起こり得ない。

病院という施設の雰囲気が、そういうホラーやサスペンス的な想像を掻き立ててしまうだけだ。

だけど…。

数段の階段を下り、私は鉄扉に手をかける。

事実は小説より奇なり、という。

現実が想像を超える事だって珍しくない。

そんな恐ろしい事にかかわりたくない反面、好奇心を抑え切れないのも事実だった。

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