雷鳴の夜
途端。

「……!」

扉の奥から押し寄せる冷気。

そして埃とカビの臭い。

やはり長い間厳重に施錠されていたというのは本当だったらしい。

当然掃除なども行き届いておらず、衛生面を第一とする病院内の施設とは思えない。

…埃が院内に入り込んでは大変だ。

私はペンライトを点灯させて地下病棟へと一歩踏み込んだ後、扉を軽く閉めた。

隙間を開ける程度の間隔。

こんな不気味な所に入り込んで、完全に扉を閉めてしまえるほど、私には度胸がなかった。


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