雷鳴の夜
ネームプレートだけではこれ以上の情報は手に入りそうもない。

それに私達の目的は、この地下病棟の謎解きではなく脱出方法だ。

私達は診察室を出て、更に地下病棟の奥へと進む。

サンダルと裸足。

二つの足音を響かせながら歩く。

と。

「さっきの三池総一郎だが」

またヴィクターが話し始めた。

「この病院…帝重工って企業がバックについてるんだろ?三池はその財力をアテにして、この病院に入り込んだって話だ。豊富な研究資金を提供してもらう為にな。かたや帝重工も、異端視されているとはいえ有名な研究者の三池だ。資金提供は惜しまず、この病院に迎え入れたらしい」

「……」

私は歩きながら、ヴィクターの話を聞いている。

三池総一郎もだけど…この人は一体何者なんだろう。

何でそんな病院の内情に詳しいんだろう…。

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