雷鳴の夜
まぁまぁ、と。

ヴィクターは私の肩を叩いた。

「そんな怒るんじゃねぇよ。実際の話かどうか真偽の程はともかく、そういう都市伝説めいた話があるのは事実なんだ。三池がその機関に関わっているらしいって噂もな」

「……」

その話が本当だとすると。

やはり三池総一郎がこの地下病棟で行っていたのは、人体実験なんだろうか。

あのネームプレートに書いてあった『F計画』というのは、人体実験の研究の名前…?

背中に悪寒が走る。

こんな所は一刻も早く出なければならない。

じわじわと押し寄せてくる恐怖に脅えながら、私は暗い廊下をひた歩いた。

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