雷鳴の夜
第四章
得体の知れないものの咆哮。

私は完全に縮み上がり、足を止めてしまっている。

…暗闇、静寂、孤独、そして正体不明の存在。

私一人ではもう限界だった。

恐怖で精神がどうにかなりそうになる。

恐らくは常軌を逸した研究が行われていたこの場所で、たった一人脱出口を探し続けるのも、私の今の精神状態では不可能に近かった。

けれど。

「怖気づいたか?」

背後で嘲笑うようにヴィクターが言った。

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