雷鳴の夜
これだけの本が存在すると、もしかしたら何か脱出への手がかりがあるかもしれないと思ってしまう。

特にこの地下病棟の見取り図などがあれば、簡単に脱出口が見つけられる可能性もある。

私は資料室を隈なく探索する。

本棚は勿論の事、事務机の引き出しや床の隅々までペンライトで照らす。

…結論から言うと、見取り図は発見できなかった。

なかなか思い通りに事は運ばないものだ。

しかし。

「?」

私は事務机の上に無造作に置いてある、あるファイルに気がついた。

黄緑色のファイル。

表紙にはこう書かれている。




『F計画に関する報告書』



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