雷鳴の夜
他にも資料室を探してみるものの、残念ながらこれ以上の手がかりは見つからなかった。

目当ての見取り図も結局最後まで見つからず、資料室での探索は空振りという事になった。

「…ここにいても成果は上がらないみたいですね…先に進みましょうか」

私が振り返ると。

「……」

ヴィクターは、まだ先程のファイルを見ていた。

その表情は真剣そのもの。

いや…鬼気迫る表情とさえ言えるかもしれない。

険しい形相で、じっとファイルを睨みつけている。

その表情に、畏怖を覚えた。

声をかける事すら憚られるほどの形相…。

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