雷鳴の夜
しかし。

「ん?終わったか?」

私の視線に気づいてこちらを見たヴィクターは、飄々とした表情に戻っていた。

…一体彼は、あのファイルを見ながら何を思っていたのだろう。

いまだヴィクターの素性は不明だ。

一体何者なのか。

何故ここにいたのか。

何の目的で私と行動を共にするのか。

本当は何らかの秘密を握っているのではないか。

気になる事はたくさんあるけど、きっと訊いた所で彼は答えてくれないだろう…。

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