tears
「奈緒子ちゃん、さん付けでなんて呼ばんでいいよ」
直さんが言った。
「なあ、結城。だから、ナナちゃんも梨奈ちゃんも、俺らのこと直、結城って呼んでな~」
直さんが結城さんに同意を求めるように、話かけた。
「ああ、こっちも呼び捨てで呼ぶし敬語も使わんくっていいよ」
結城さんが私達に優しく言った。
「じゃぁ、俺のこともこーたでいいよ!」
こーた先輩がミラー越しに後ろを見た。
「奈緒子はダメやけどなっ」
と付け加えた。
「えっ、なんで?いいじゃん奈緒子も、こーたって呼んでも~」
奈緒子が口を尖らせながら、こーた先輩のTシャツの裾を引っ張った。
「今の顔が可愛かったから許すっ」
こーた先輩はそう言って、奈緒子の髪をくしゃくしゃにした。
「ちょっと~」
奈緒子は顔を赤らめながら、髪を整えていた。