ぼくの 妹 姫
ひかり
お兄ちゃんと別れ
ホテルを出て
まだ暗い街を
ただ ひたすら歩き
たどり着いた先は川
市内で1番大きな川に架かる橋
橋の真ん中まで進み
欄干に手をかけ思い出す
全てが始まった
まだ肌寒い春のこと
叔父さんの家で
世話になってた中学生の私は
なにもかも嫌になって
ここで飛び降りようとしたんだ
それを止めたのが
お兄ちゃんからの電話
『ぼくが蕾を守るから』
ふふっ…て思い出し笑いして
川面をのぞきこむ
暗くて何も見えない
まだ夜は明けない