ぼくの 妹 姫
あの頃、
ぼくは早く 大人になりたかった
大人になって
蕾と二人で暮らすのが
ぼくの夢だった
つらい生活から
蕾を救い出すんだと思ってた
だけど
あの夜
ぼくが両親を殺した夜
蕾の小さな手を握りしめて
感じたことは
蕾のために大人になりたかった訳ではないんだ
救い出して欲しかったのは
逃げ出したかったのは
蕾では なく
ぼく自身だったのかも知れないと
異常な生活から
悪夢から
逃げ出したかったのは
本当は
ぼくだった
あの夜から
まだ夜明けが来ない
ぼくたちは まだ
あの夜にいる
夜から抜け出せないまま
立ち尽くしてる