ぼくの 妹 姫
長い沈黙のあと
「わかってる
別れてから、もう何年も経ってるし」
美紗の沈んだ声に
傷つけたいわけじゃない
ぼくは誰でも良かった
受け入れてくれる人なら
誰でもいいから
愛そうと思った
それがイヤだと言われてしまえば
どうしようもない
「楓、蕾ちゃんと暮らしてるって」
急に 美紗は話題を変えた
何かを 振り切るように
「あぁ、3月末から
暮らし始めてもう1ヶ月半過ぎたな」
「大丈夫なの?
蕾ちゃん中学生でしょう?
養うの大変じゃない?」
「大丈夫だよ」
「…そ。……私、蕾ちゃんって、あんま印象にないなぁ」
母方の親戚なら そうだろうな
「蕾ちゃん生まれた時って
大変だったもんねぇ」
「美紗!」
「え?」
「ごめん。もう遅いし切るわ」
「……え、あ、うん……
じゃ、またね楓」