ぼくの 妹 姫
数学の時間は居心地が悪い
教壇に立つお兄ちゃんは
中西先生だから
「じゃ、問1を松永、黒板で」
松永くんが問題を解いてる間
窓際の壁にもたれて
お兄ちゃんは腕組みしてた
………何を考えてるの?
「蕾、蕾」
隣から宙が小声で呼んだ
「なに?」
宙は手のひらを差し出して
その上にはミルキーが乗ってた
「飴ちゃん、あげる」
ニッと笑う宙に
「飴ちゃんって大阪のオバチャンみたいだよ?」
私はクスクス笑った
「いいから食え」
うなずいて包み紙をはがし
白い飴を口に放った
練乳みたいな甘さが広がって
これってママの味なんだっけ?
この甘さのような母親なんて
この世に存在するのかな?
「………甘いね」
宙に言うと
満足そうに うなずいた