ぼくの 妹 姫




トゥルルルルル………


トゥルルルルル………




「……………はい」


寝てたかと思ってた蕾の声ははっきりしていて




ケータイ越し車の走り去る音と風の音が聞こえた




「………蕾?」




久しぶりに口にした妹の名前に なぜか照れた




「なぁに?お兄ちゃん」




なぁに?と訊かれて何と答えたらいいのだろう




「蕾、今どこにいるの?
叔父さんの家じゃないのか?」





「うん。早朝ウォーキング中」



笑いを含んだ声で蕾は答えた




「……そっか。健康的だな」




そこから言葉が続かなくて
右手で前髪をかきあげた




「………お兄ちゃん」



不意に蕾の方から話しかけてくれて ホッとして




「ん?」と訊き返すと




「お兄ちゃん
いつになったら蕾を迎えに来てくれるの?」




その声は



すねたような 甘えたような



6歳の頃のままで




――――――ギュッ――――



胸を締め付けた




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