危険な二人
俺の人生設計をむちゃくちゃにした男、花島風月。
奴の罠にはまって、俺はせっかく開いた店を一年もしないうちに潰す羽目になった。
小さいころからの夢だった、喫茶店のマスターだったんだ。俺は。
奴は言葉巧みに俺に近づき、儲け話をちょくちょく持ちかけてきた。
金額的には数万円の口が殆どだったが、どれもそれなりに効果のあるものだった。
健康食品をメニューに加えたり、BGMにジャズを流すとコーヒーがよく売れるだとか、時には電気代の節約なんてものまでネタを仕入れてきていた。
もともと店の客としてきていた花島だったが、元来友達のいない俺にも親しげに話しかけてきたせいで、俺はすっかりあいつを信用してしまっていた。
奴の持ち込んだ大口の儲け話に、俺はまんまと乗ってしまったのだ。
倍になって返ってくるという話を間に受けて、俺は百万、二百万と次々に金を渡して行った。
初めのうちこそ倍になって帰ってきていたが、額が大きくなるにつれて、戻ってくるまでの期間が長くなっていた。
金が出たり入ったりしていたせいで、いくら損しているのか感覚が麻痺していたのだ。
借金に借金を重ね、あれよあれよと総額で一千万を超える金額になっていたとき、俺の破滅は決まった。
妻子に借金を負わせるのは心苦しい。
その計らいで女房とは離縁したのだが、それすらも花島の狙い通りだったのだ。
後で分かったことだが、女房は俺と離縁した後、花島と一緒になったらしい。
思い返してみれば、店に来ていたときから女房には色目を使っていたように思う。
さらに、俺が投入した金は、全部花島が懐に入れていたというのだから、俺のバカさ加減にはあきれるばかりだ。
どうして、あんな奴を信用してしまったのか。
金も、家も、妻も子も、全部奪われてしまった。
俺にはもはや、生きる希望さえ残っちゃいない。
奴の罠にはまって、俺はせっかく開いた店を一年もしないうちに潰す羽目になった。
小さいころからの夢だった、喫茶店のマスターだったんだ。俺は。
奴は言葉巧みに俺に近づき、儲け話をちょくちょく持ちかけてきた。
金額的には数万円の口が殆どだったが、どれもそれなりに効果のあるものだった。
健康食品をメニューに加えたり、BGMにジャズを流すとコーヒーがよく売れるだとか、時には電気代の節約なんてものまでネタを仕入れてきていた。
もともと店の客としてきていた花島だったが、元来友達のいない俺にも親しげに話しかけてきたせいで、俺はすっかりあいつを信用してしまっていた。
奴の持ち込んだ大口の儲け話に、俺はまんまと乗ってしまったのだ。
倍になって返ってくるという話を間に受けて、俺は百万、二百万と次々に金を渡して行った。
初めのうちこそ倍になって帰ってきていたが、額が大きくなるにつれて、戻ってくるまでの期間が長くなっていた。
金が出たり入ったりしていたせいで、いくら損しているのか感覚が麻痺していたのだ。
借金に借金を重ね、あれよあれよと総額で一千万を超える金額になっていたとき、俺の破滅は決まった。
妻子に借金を負わせるのは心苦しい。
その計らいで女房とは離縁したのだが、それすらも花島の狙い通りだったのだ。
後で分かったことだが、女房は俺と離縁した後、花島と一緒になったらしい。
思い返してみれば、店に来ていたときから女房には色目を使っていたように思う。
さらに、俺が投入した金は、全部花島が懐に入れていたというのだから、俺のバカさ加減にはあきれるばかりだ。
どうして、あんな奴を信用してしまったのか。
金も、家も、妻も子も、全部奪われてしまった。
俺にはもはや、生きる希望さえ残っちゃいない。