道標
終
終
僕の右手には女の子が残していったメモ。
僅かに女の子の温もりが残ったメモを小さく折り、ポケットにそっとしまう。
女の子がこの世界に残していった、小さな足跡。
そしてその裏には女の子が想い続けた想いが残されている。
五年間想い続けてきた『帰りたい』
女の子がそう想うことは、もう無い。
彼女は帰ることが出来たのだから。
僕の仕事が終わる。
電車が進み始める。
僕の一人旅は続く。
この世界に取り残されてしまった想いを導く。
『道標』
それが僕の仕事。