道標
第二章 守り人
序
序
雪――
それは全てを包み込み、静寂をもたらす空からの贈り物。
僕はただ、その舞い落ちる姿だけを見ていた。
雪の街、札幌。
僕がこの地に足を踏み入れたのは、今から三ヶ月前。
そして、僕はここで年を越した。
僕は今、テレビ塔から始まる大通り公園にいる。
闇の中、幾つものライトに照らされた雪像。
あまりの美しさの為、人々から溜息が漏れる。
札幌最大の行事である雪祭り。
人々が雪像を見つめる中、僕は一人だけ揺れ落ちる雪を見ている。
美しく仕立て上げられた雪像よりも、誰にも手を加えられず、自然のままの姿で地へ降り注ぐ雪の方が美しい。
温かな柔らかい風が吹く。
僕は静かに目を閉じる。
僕の仕事が始まる。