道標
独~参
独~参
昨年の秋、僕は山の中を走る電車の中で、一人の女の子に出逢ったんだ。その子は自分が五年前の事故で死んでしまったことを知らなかった。
その女の子は事故が起こった次の日から、毎日のようにその事故を一人で繰り返し続けた。五年の間ずっと。ずっと独りで。
女の子は帰りたかった。自分の故郷へ、自分の家へ、自分の家族のもとへ。
その想いは五年の歳月を経て、叶えられた。
その想いは五年の歳月を経て、帰れたんだ。
想いを導く。
それが僕の仕事。