道標
独
独
僕はね、北海道で君と同じように自分が死んでしまったことに気付いた想いに出会ったんだ。
その想いは悲しい眼をした想いだったよ。
想いはね、叶ったとき消えるんだよ。そして、諦めてしまったときも消えてしまう。
その想いは今にも消えそうだったんだ。そう、雪のように。
僕は叶えてあげたかった。静かに消えてしまう前に。
その人は守りたかったんだ。自分の大切な大切な人を。
でも、死んでしまった。もうその想いは叶えられない。
けれど、彼にはもう一つ守るべきものがあった。
それは小さな約束だったんだ。
その約束が彼を一年の間引き止めてくれたんだ。
『雪祭りに一緒に行こう』
その約束が。
彼はその約束を守ることが出来た。本当に些細な約束だったかもしれない、けれどもそれで十分だった。
彼は守る事が出来たのだから。
想いを叶える。
それが僕の仕事。