道標
終
終
僕は切符を片手に電車に乗る。
行き先は僕にもわからない。
ドアが閉まる音を聞きながら僕はシートに座る。
シートの上には何処からか迷い込んだ桜の花びら。
窓の向こうには晴れ渡る空。
この街で散っていったのは桜の花びら。
そして一つの想い。
桜のように散った女の子。
その想いは叶えられた。
桜色に頬を染める女の子。
その子はもういない。
僕の仕事が終わる。
僕の一人旅は続く。
この世界から散り行こうとする想いを見守る。
『道標』
それが僕に出来ること。