ホスト 神
約八十個の目が一斉にコルベットを包んだが、ハルさんは気にせずにコルベットのアクセルをフカす。



周囲にコルベットのエンジン音と、特注したマフラーの野太い音が響き渡る。



コルベットの目の前にいた、髪の毛を編み込みんでコーンローの上にバンダナを巻いている奴が叫んだ。



そのバンダナとコルベットとの距離凡そ３メートル。



「轢けるもんなら轢いてみっ…」



そのバンダナが言い終わる前にハルさんは、コルベットとバンダナとの距離を一瞬にして僅か数センチに縮めたらしい。



バンダナはその場に力なく座り込んでしまったようで、後ろにいる俺からは見えなくなった。



それで一気に火が付いたのか、周りにいた奴等も一斉に声を荒げ絡み始める。



ジュンが無言で助手席のウィンドウを全部下げ、次の瞬間月矢が車から上半身を出し吠えた。



「ウォラァー！邪魔だって言ってんだ！退けろコノヤロー！！」



一気に視線が此方に集まり、その群れの中で一番体格が良いのが向かってくる。
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