ホスト 神
その時、脇に居た背の小さいキャップを逆向きに被っている奴が、隣の男の腕を掴んで耳元で何か話している。



月矢はそのまま黙って上半身を車内に戻し、音もしないウィンドウを上げた。



その一分後、其れまでの光景が嘘のように、前に居た四十人は歩道に並んで皆一様に頭を下げている。



ジュンはヒュ〜っと月矢に向かって口笛を吹いたが、月矢は茶化さないで下さいと照れている。ルームミラー越しにジュンと目が合った。



「嫌ですねぇ〜神さん!見ました?今の!本当に嫌ですね血の気の多い人ってのは!」



「えぇ。バッチリ見ましたよジュンさん!嫌ですねぇ〜怖いですねぇ〜。」



俺とジュンのおばさま会話を聞いて由美は、隣で大爆笑しているが、月矢は不貞腐れて歩道で頭を下げている奴等を眺めている。



公園の入り口に着くと、既にパトカーが二台停まっていた…その後ろにコルベットとチャージャーを停め、車から降りて成る可くパトカーの方を見ないで公園に入ろうとした。



「コラッ!神!」
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