ホスト 神
…以外だった。



オーナー室は、奥にデスクが一つとその手前にテーブルが一つ。それを挟むようにして、二人掛けの黒い皮のソファが二つ置いてある。



何時もは、デスクにハルさんが座って仕事をしているのだが、今日は美月さんがデスクに座ってパソコンを眺めていた。それを脇に立っているハルさんが、首をパソコンと美月さんの間に突っ込むような形で話しをしていた…どうやら売り上げの話しをしているようだ。




「お疲れさま!入って二人とも其処のソファに座って。」



「ついにお二人の結婚の日取りが決まって、二次会は[fly]でするってお話ですか?」



平然としながらジュンがいつもの軽口を叩く。



「馬鹿言ってないで早く座れ。」



この話になると、ハルさんは急に顔を真っ赤にして、少し照れながら怒り出す。



滅多に見れないハルさんのそんな顔を見たい為に、ジュンは何時もこんな軽口を叩くのだ。





美月さんはハッキリ言ってかなりの美人…その辺のモデルなどは、美月さんの足下にも及ばないだろう。身長は170センチ程で、スタイルもほぼ完璧に近く…髪は肩胛骨の下ぐらいまで伸ばしたストレートの黒髪。確か今年で45歳だった筈だが、言われなければ30歳と言われても信じてしまう。



美月さんはハルさんがホストをしていた時の、一番上得意のお客だったらしく、昔居た店で長年ナンバー1を張って来れたのも、今こうやって[fly]の代表をやっているのも、全ては美月さんのお陰らしく、酔うと…「俺は美月さんと会っていなかったら、そこら辺で野垂れ死んでただろうな…。」がハルさんの口癖だ。
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