ホスト 神
ハルさんが向かいのソファに腰を下ろした。



美月さんは売り上げ帳簿が写っているであろうパソコン、未だ睨めっこしている。



「今日新人が入ったよな。」



ハルさんがタバコに火を付けながら話し出した…やっぱり。



賺さずジュンが口を挟む。



「えぇ。慎悟でしたっけ?」



「そうだ。神、お前慎悟どう思う?」



「どうって言われても…未だ話した事も無いんで何とも言えませんね。」



オーナー室はブラインドを開けているので、日光が背中に当たる…ヤバい眠くなってきた。



「慎悟は良いものは持ってると思っている。」



ハルさんが此処まで言い切るのは結構珍しい…だが、ハルさんはこういう読みを外した事が無い。



「そこでだ!代表の俺がこういう事を言うのもなんだが、お前達の派閥に入れたいと思う。」



出たっ…やっぱり派閥の話しだ…。



「だからハルさん。俺とジュンは派閥を作ったつもりも無いですし、これから作るつもりも無いですって!だいたい派閥とか苦手なんスよ…」



「お前達二人が、此処らで有名なギャングの頭だったっていうのを知ってる俺に、それは通用しねーよ。族やギャング、チーマーや愚連隊なら、縄張り争いや派閥争いはお手のものだろうが?」



これを言われると、俺もジュンも反論する術を失う…。



美月さんがいつの間にか、俺とジュンの座るソファの後ろに立ち、俺とジュンの顔の間から顔を出してきた。



「神君。私とハルは、別に派閥を作らせたくて言ってる訳じゃないの。実はね…」



コンコン



「失礼します!」
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