ホスト 神
俺はあくびするのを隠す為に逆の通りを見渡した。



居た!



通りの向こうには、周囲の人間を圧倒しながら歩いている女性が居る。



…綺麗だ。髪は胸の先端ぐらいまでで、少しシャギーが入っている。モデル並にグラマーな体型。服装はシックなスーツ姿…おそらくグッチ。歳は…四十前ぐらいだが素晴らしく美人!



よく眺めてみると、あの女性が周囲を圧倒してるのではなく、周囲が勝手に圧倒されているのだと気付く。



「お兄さん達は何やってる人〜?」



「ホスト!」



俺はそう言い残して横断歩道に走った。



ジュンが背後から何処に行くんだと声をかけてきたが、俺は後ろを振り返らずに無言で通りの向こうの女性を指さした。



横断歩道を渡っていると、何人かの男達が声をかけるタイミングを見計っては諦めていく。
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