ホスト 神
クリスタルは一本だけ残し、集まったホストと俺で僅か数分で無くなってしまった。



香澄は隣でリシャールの入ったバカラグラスを傾け、俺をじっと見つめてくる。



「…分かったわ!神君は私の昔の知り合いに似てるのよ!ずっと気になってたのよねぇ〜♪」



は…はぁ…だからずっと見てきてたのか。



疑問を胸に抱いていると、ハルさんが急いでフロアに降りてきて此方に向かって来る。



ハルさんは俺のテーブルの前に来ると、片膝を立てて頭を下げた。



「いらっしゃいませ。香澄様。」



「あらぁ〜♪ハルじゃないの!丁度今貴男の話しをしてたのよ♪」


ん?…と言う事は、俺とハルさんが似てるって?…まさか有り得ない。



顔だって全然違うし、器量としての器だって、ハルさんが伊万里の大皿だとすれば、俺なんて小皿か下手したら箸置きぐらいのものだ。



そんな俺を余所に、ハルさんと香澄は俺を挟んで昔話しに華を咲かせている。
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