ホスト 神
俺は出勤準備をして、マンションを出てタクシーで[fly]に向かう。




昨日注文しておいた白のタキシードとハットは、もう[fly]に届いている筈だ。



ハルさんの提案で、最終日の今日は、ナンバーを持っている奴全員スーツ以外を着なければならない。



因みに…俺はジュンに黒のタキシードで合わせたらどうかと提案したが、ジュンは頑なにそれを拒否し…まぁ後で分かるので今は言わないでおこう。



俺はおもむろに携帯を取り出し、少しの間画面を睨みつけていた。



…よし!



俺は由美の番号を出して、携帯の左上にある受話器の上がっているボタンを押した。



軽やかなメロディコールが聞こえてくる…歌姫が切なく愛しい人を想い、その愛しい人へ捧げる内容の歌…。




昔に俺とジュン、由美とチハルでカラオケに行った時に、由美が歌ってるのを聞いて好きになった曲。



由美の歌唱力の凄さにも驚かされたが、俺は素直に聞き入ってしまったのを覚えている。
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