ホスト 神
「別に用ってほどの事はねーよ。ただ、無くなる前に一目見ておこうと思ってな。邪魔したな辰樹。」



四人で一斉に立ち上がり、悔しそうに下唇を噛んでいる辰樹の肩に軽く手を置いた。



「…でもそうやってその女と一緒に居るって事は、アンタのくだらないルールの中じゃ一緒には暮らせなくなったって訳だ。俺はアンタに噛みついた証拠を残せた。今はそれで我慢してやるよ。」



俺は少し前にいる由美をチラッと見た。俺はホストを辞める。それでその件は俺の中で決着がついている。



「その事はもういいよ。俺は…。」



その瞬間、由美は走って入り口に向かった。



「おい!由美。」



俺の言葉も聞かず、由美はそのまま店を飛び出していった。



俺は急いで後を追う為、辰樹をはね飛ばし店を出る。



「ちょっと待てって由美!」



店から20メートル程の所で、やっと由美の腕を捕まえた。
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