ホスト 神

そして次の瞬間、振り向く腰の回転を生かして、正確に辰樹の左頬に右ストレートを打ち抜いた。




…これは龍一の分。



上半身を後ろに倒れ込むようにして吹き飛ぶ辰樹の首を左手で掴み、もう一発。




…これは美月さんの分。



一発目で既に鼻の骨が折れたのか、手にはベットリと返り血が付いている。



一呼吸おいてラスト一発。





これは由美を泣かせた分。





「貴ッ様ー！」



怒声と共に、辰樹を取り囲んでいた四人の刑事が俺に襲いかかってくる。



さすがに柔剣道の猛者四人相手じゃ俺も適わない。


…まぁ、最初っから抵抗するつもりもないが。



あっさりと汚い歩道の上にうつ伏せにされ、腕の関節を締め上げられた。