ホスト 神
「貴様、暴行傷害の現行犯だぞ!」



うつ伏せにされているので顔は見えないが、おそらく灰色のスーツを着た体格のいい刑事だろう。腕が折れそうなぐらい締め上げられた。



顔だけ軽く上げて少し離れた所にいる古竹のおっさんを見ると、右手で目を覆っている。



…おっさんスマン。



「おい!逃げないし暴れないから立たせろ!」



「そんな話しが信じられるかバカタレ!」



…バカタレ?喧しいわ!俺にはもう一つやらなきゃいけない事があるんだよ!



目の前にいる辰樹の鼻は、壊れた蛇口のようにどす黒い鼻血を垂れ流しているが、両腕を刑事に捕まえられている為、鼻を押さえる事も出来ない。


「間接締め上げられて逃げられるねーだろ!いいから起こせ!」



俺の腕を掴んでいる刑事は、ぶつくさと小声で文句を言いながら静かにゆっくりと俺を立ち上がらせた。





「ジュン!」
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