ホスト 神
古竹のおっさんが白髪混じりの頭を、後藤と呼ばれていた刑事に頭を下げて何かを頼んでいる。



それを見た長身の後藤は、此方を大きな溜め息と共に諦め顔で振り向いた。



「…林田。その青年の腕を離せ。」



「そんな！コイツは現行犯ですよ！」



俺の右腕を押さえていた、灰色スーツの刑事が俺の首筋に唾を飛ばしながら叫んだ。



「…俺も古竹先輩も欠伸をしていて見ていなかった。職務怠慢と思われても仕方あるまい…上に言いつけるなら言いつけろ。早くその手を離せ林田！」



そう言うと後藤は、古竹のおっさんの方に視線を流した。おっさんはもう一度深々と白髪混じりの頭を後藤に向かって下げた。



林田と呼ばれた灰色スーツの刑事は、俺の腕を一度強く締め上げた後、力任せに俺の腕を離した。



「行くぞ！」



後藤が先頭になり、辰樹を連れながら刑事達は歩き出した。



刑事達が少し歩き出した時、通りの向こうから白いリンカーンタウンカーのリモ（リムジン）が、ゆっくりと此方に向かってくる。
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