ホスト 神
チハルのマンションは以外と近く、俺のマンションから十五分と離れていないの所にある、グレイのタイル張りの建物だった。



マンションの一階でオートロックを開けてもらい、八階にあるチハルの部屋の前に立ってインターホンを押す。



「いらっしゃい。由美ちんには神君が来るって言ってないから。さぁ入って。」



チハルに促され、靴を脱いでチハルの後に付いていく。



「うぅっ…ヂバル〜…彼氏でも来たの?」



由美は小さな体を更に小さく丸めて此方を見た。



…由美の黒みがちな大きな瞳からは、まだ涙が止め処なく流れ落ちている。




「なんで…なんで神を呼んだのよぉ…チハル。」



「ごめんね由美ちん。もう一回二人で話し合った方がいいと思って…。」


俺はチハルが居ることも忘れ、由美に抱きついた。
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