ホスト 神
俺とジュンは、後一年程で[RED・STA]を引退すると決めていた。次の2代目プレジには、信太郎が治まる事になっている。



現在、[RED・STA]のファミリーは軽く百人を越す大所帯。



それでも、家庭の事情やパクられたりして人数は減ってきていた。



俺が引退するまでには、後何人減っているか…。



二ヶ月前に引退を決めてから俺とジュンは、次のプレジに信太郎がなっても困らないように、毎週大所帯の[RED・STA]を引っ張って他チームを潰し回っていた。



「もう他に潰すチームなんて無いだろ。それにもう飽きて…。」



その時、ガードレールに凭れ掛かっている俺とジュンの前を、四人組の女が通り過ぎた。



「…ん?どした?あの四人組可愛かったか?おぉ!一人可愛いの居るじゃん…おい、神!」



ジュンの声も届かぬほど、俺の目はその一人の女に釘付けになっていた。



「お前惚れたろ?お前が惚れるなんて珍しい事もあるもんだ。あの三人は俺が話ししててやるから、お前あの子と話して来いよ。」



ジュンが歩道に座って、上目使いでニヤニヤしながら俺の顔を見上げてくる。



俺の初めて一目惚れした女。



後に、生まれて初めて俺から告白した女。



陽子だった。
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