ホスト 神
「ちょっとジュン!アンタ私の他に奈美にも手を出してたの?」



編み込みのユキが、既にジュンの首根っこを掴んで離さない。



「はぁ?ちょっと待ってよ、私もなんだけど。」



緩やかパーマの加奈も、折れそうな長い爪を立ててジュンの手を握っている。



『最ッ低!ちょっとこっち来いジュン!』



有無を言わさず、少し離れた冷たい歩道の上に、土下座させられたジュン。



俺の記憶が確かなら…奈美、加奈、ユキの順で一週間ずつ付き合った筈。最後のユキに至っては、ここまできたら三人共でしょ!と言っていたジュンの顔を思い出す。



だが、火の中にダイナマイトを放り投げるような行為なので、今は黙っておく。



ジュン、受け取れ。俺のせめてもの男の友情。



「なんか…凄い友達ですね。」



必然的に二人きりの形になったので、薄く染めた茶髪のロングストレートの子が話しかけてきてくれた。



「…そうだね。俺も今再確認したよ。」
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